夏
小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 暑さしのぎ 本調子 暑さしのぎに縁ばなでさゝさゝさゝさつと吹くる 蚊屋の風うつとりとてもてもめづらしい仲立にそれ 稲びかりえゝおうこわや
小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 待ちかねて 本調子 待ちかねてラヂヲかければ鈴むしの涼しや古き 三味線に流れの糸のさびしくば朝顔の葉をもつて 鳴るその手つゞみのおもしろき
小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 川風に 本調子 川かぜにつひさそはれてすずみ舟 文句もどうか口舌して粋なすだれの風の音に もれて聞こゆる爪弾のいきな世界にてる月の中を流るる隅田川
小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 言ふまいと 本調子 言ふまいと思へど今日の暑さゆゑ 水を団扇にささきげん アア 性わるな冷奴汗に一と声夕鴉