あの花が

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より あの花が 本調子 あの花がさいたさうだが羨ましさつと雨もつ その時はわしも後から咲くわいな

朧夜や木の間

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 朧夜や木の間 本調子 朧夜や木の間にゆらぐ雪洞の灯影まはゆき桜花 手拍子打てばちらちらと散るを惜しまん春の宵

ちりもせず

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より ちりもせず 本調子 散りもせず咲きものこらぬ仇ざくら 春といふのもここのこと心にとめて 忘られぬ振りかけられたい忘れ草

春雨に相合傘

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 春雨に相合傘 本調子 春雨に相合傘の柄もりして つひぬれそめし袖とそで たれしら壁と思ふ内 いろとかかれてゐるわいな

春雨に

春雨に 春雨に相合傘の濡れたどし いつか夫婦まつのはな わたしの船にのりおうて 深みへ渡るみなれ棹ぬるる雫もいとうれし

春風がさそふ

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 春風がさそふ 本調子 春風がさそふかほりの身にしみじみと アゝ軒の梅うつらふものと知りながら 逢へば男の口ぐるま いろは順でちょうど「は」の項 たくさんありますね

半ぞめ

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 半ぞめ 三下り 半ぞめのぬれ手ぬぐひやうめの花

春がすみ

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 春がすみ 本調子 春がすみ引くや ゆかりの黒小袖 これもゆるしのいろ里へ 根ごして植し江戸ざくら 松のはけさき すき額 あづま男のいで立ハ まぶの名取の草の花

春風が

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 春風が 本調子 春風が身にしみじみと肌とはだ 惚れた互のうさはらし 去年の座しきはちわの種

井筒

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 井筒 本調子 花は紅柳はみどり春が来たそな窓近く 見れば井筒の片つるべ誰がすさびにや花の一と枝