二上り

秋の野に

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 秋の野に 二上り 秋の野に出て七草見ればさあやれ露で小褄でみな ぬれるさあよよしてもくんな鬼あざみ

秋の七草

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 秋の七草 二上り 秋の七草むしの音に啼かぬ螢が身を焦す君を まつ虫啼く音に細る恋といふ字は大切な

青柳のかげ

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 青柳のかげ 二上り 青柳のかげに誰やらゐるわいな人ぢやごぜえせぬ 朧月夜の影法師

海老の子

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 海老の子 二上り えびの子は生れながらに髭長く腰に梓の弓を 張り目は出目でめでたかりける次第なり

御所のお庭

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 御所のお庭 二上り 御所のお庭に右近の橘左こんのさくさくふくふくふく らんだらんだ右大臣左大じんさくさく朱のはかま はいたる官女官女たちたち

この頃は

くずした字がよめません(^^;) 小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より この頃は 二上り この頃はひよんな噂を立てられて思の胸をこがし候

ござれやござれ

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より ござれやござれ 二上り ござれやござれ参りませう参りませう参りました御用は なんでございまするぞいなさればさればいろの学問 さまをしつてやりませうかいな言といふ字を真中に 糸といふ字でさまはさまんせその下ご…

舟ぢや寒かろ

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 舟ぢや寒かろ 二上り 船ぢや寒かろ着て行かしやんせ私が着がへの この小袖だれに遠りよはないはいな(君は今ごろ同調)

深い二人が仲

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 深い二人が仲 二上り 深い二人がその仲ハ何これしきのことをば腹を立 たり立たせたり打たるゝ私はいとはねど夫じやお前の 癇しやくが募りやせぬかと案じられ(どうぞ叶て同調)

麻雀

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 麻雀 二上り 麻雀の象牙と竹の肌とはだそのつめたさや 小夜しぐれ

松竹に

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 松竹に 二上り 松竹に東風ふきさそふ年徳や鳥居くゞれバこま 下駄の音もよいとや初詣り

儘になるなら

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 儘になるなら 二上り まゝになるならあの人連て千ヶ字詣りの道行ハ どうであるかいなどぢやろかいな

妬くのハ野暮

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 妬くのハ野暮 二上り やくのは野暮と知りながらあの忘られぬ甘口に よそでもそれと胸の張嬉しがらせて罪ぢやぞへ

残る暑さ

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 残る暑さ 二上り (二上り)残るあつさを(三下り)どこへやら同じこゝろも友呼子鳥 ひけやうたへの氣さんじはいろ氣七湯の山めぐり

うぐひすの身

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より うぐひすの身 二上り うぐひすの身をさかしまに初音屋の 本調子 籠立てさせて 青木町こゝがのんどのかはかんと道を急いで梅やしき

向ふ通るは清十郎

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 向ふ通るは清十郎 二上り 向ふ通るハ清十郎ぢやないかアゝサンヤレ笠がよう 似た菅笠がよしてもくんなよ人ちがひ

何を合点

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 何を合点 二上り 何を合点ぞ女郎花尾花は誰を招くやらお月 さますましてゐやしやんすヨイサ、ヨイサ

猫ぢや猫ぢや

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 猫ぢや猫ぢや 二上り 猫ぢや猫ぢやとおしやますが猫が十二ひとへを着るといふ ごろにやごぶろにやごぶろんにやごぶろんにやご

月は冴ゆれど

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 月は冴ゆれど 二上り 月はさゆれど心もいつか晴てのんきな酒きげん よいよいよいよいよいやさ隅田川べにちよと舟止て簾の 中はさし向ひしどけ形りふり膝に凭れてにつこりと 水にうつらふ星くだり

月のまるさに

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 月のまるさに 二上り 月のまるさに恋路の闇ハ江戸も他国も同じこと

ぞめきにごんせ

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より ぞめきにごんせ 二上り ぞめきにごんせ島原へ小野の道風ぢやあるまいし かはずに柳をみてかへる

そもそも我等

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より そもそも我等 二上り そもそも我等は西の宮のゑびす三郎左衛門之丞 色の黒いは大黒天よ長い頭巾かぶりて老らく 姿のおやぢさん誰ぢや誰ぢやいはずと知れし寿老人 顔の長いが福禄寿ほていは土佛その中に美しいのが 弁…

宝船

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 宝船 二上り ゆたかなる黄金港のたから船千浦の倉に出つ 入りつ千艘万艘の賑やかさ

丹波

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 丹波 二上り ヱゝイヤレコリヤナわしけヱゝゝゝヨイサヨイヱゝゝ丹波の江さし の娘ヤレ女子ヱゝゝゝゝヤレコリヤナおなごヱゝゝゝゝヨイサヨイサヱゝゝゝゝお望み おのぞみならバヤレ傘をさしてねヱゝゝゝゝヤレさつ…

竹になりたや 尺八

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 竹になりたや 尺八 二上り 竹になりたや紫ちく竹もとハ尺八なかは笛すゑハ そもじの筆の軸思ひまゐらせ候かしくそれそれそうぢやいな

辰巳やよいとこ

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 辰巳やよいとこ 二上り 辰巳やよいとこ素足が歩く羽織やお江戸の ほこりもの八幡鐘がなるわいな

七夕

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 七夕 二上り 七夕のあふは別れのはじめぞと明けてくやしき 一と夜のちぎりまたもや袖になみだ雨

与作

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 与作 二上り 与作おもへばてる日もくもる はいはいどうどう はいはい関の小萬が涙の雨よ ほととぎすなほぞん かけたかへこちや二世かけたへ

河太郎

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 河太郎 二上り すすきかついだ河太郎かぼちゃ畑をふらふらと酒か 団子かいい機嫌用水堀もうすどろをさそふ 雨氣の小夜更けて月に遠音の村ばやし

神奈川小唄(雪の巻)

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 神奈川小唄(雪の巻) 二上り ピーポーピーポー横浜港出船入ふね帆は風まかせ 今ぢや油炭の煙りを吐いて結ぶ條約國際 キツス海岸萬里も帯水一と重とけて流れて 黄金ごころの雪が降る