小唄

誓紙

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 誓紙 本調子 誓紙かく度三羽づゝからすが熊野で死んだけな

世辞で丸めて

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 世辞で丸めて 本調子 世辞で丸めてうは気でこねて小町のやうな私さへ一と 夜の嵐に誘はれて散れバこの身はねえもし一休さん

せかれせかれて

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より せかれせかれて 本調子 せかれせかれてくよくよ暮すえたまに逢ふ夜ハせか れては逢ふあふてハせかれ別れともない明の鐘

桃の花

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 桃の花 三下り 桃の花あかき灯影やぼんぼりのこの朧夜を 女夫雛二人して酌む白酒に声も出ましよ眠く もならうまあ重たげなあのまぶた

望の月

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 望の月 本調子 望の月雲間はなれてさへざへし小唄の友と 水入らずかわして見たき主の声

百千鳥

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 百千鳥 本調子 海苔粗朶も梅の花さくばかりかな春の香誘ふ 汐さきによれや磯子の百千鳥チョン来な来な横浜 横だよチョン来な来な杉田もすぐだよ

紅葉して

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 紅葉して 本調子 紅葉して昔ながらの小倉山きみの御幸を待つ わいな木でさへこゝろあらばこそ

名流小唄鑑賞会

平日の昼間の会ですが、なんとか行ってきました。 知人が先生からチケットをいただいたとのことで、ご相伴。 出てくる人が全員家元。そりゃあもう、○○なわけがない。 至福の一時をすごしてきました。 唄い方にしても、三味線の弾き方にしても、勉強になりま…

羊の春

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 羊の春 三下り 今年よい年羊の春よ山とつまれた宝の紙は 紙ハ紙ぢやがお札の紙よ喰きれますめえ羊の当り年

人の情

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 人の情 三下り 花さそふ風もあるのに花ちらす風もあるとて 雨もまた人の情のいろいろに降る雨

人知れず

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 人知れず 三下り 人しれず逢ふ夜桜や向島花の嵐に明の鐘

ひとふし

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より ひとふし 本調子 ひとふしは仇な文句を楽しみて聞けばきく程 味のあるこれは茶の友酒の友

ひと声は

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より ひと声は 本調子 一と声は月が啼いたかほとゝきすいつしか白む短 夜にまだ寝もやらぬ手枕や男心はむごらしい女心は さうぢやないかた時逢はねばくよくよと愚痴な やうだが泣いてゐるわいな

久松よ

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 久松よ 本調子 久松よ久松よひさようよいよいよいなぜに己れハ内方 さんの娘ごさまをばやれそゝのかし嫁入のじやまを しをるげなぬかすなぬかすなさる人に聞いたえ

引汐

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 引汐 二上り 引汐の流れにまかす舟のうち月の影さへ朧夜に うきつ沈みつ三味線の(三下り)音はやさしき桂川むかし しのぶやほとゝぎす

きおい肌

きおい肌だよ神田で育ちゃ♪ って、威勢の良い唄を習い始めました。 まった、この三味線の手がむずかしい。 次回は、もっとしっとり系にしてもらおっと。

人のよしあし

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 人のよしあし 本調子 人のよしあしおふのは野暮よわたしや誰の事 でもよけいなことはいはないけれどコレマおしじやない からさはりにならないエゝ事をいふ(梅にうぐひす同調)

氷面かゞみ

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 氷面かゞみ 本調子 ひもかゞみとけてぬるゝ夜のそのうつり香に匂ひ かさぬる閨のうめ

鬢のほつれ

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 鬢のほつれ 三下り 鬢のほつれハ枕のとがよそれをお前にうたぐられ 勤めぢや苦界ぢやゆるしやんせ

ひぢを枕

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より ひぢを枕 本調子 ひぢを枕につひうたゝ寝をむりに起せば大欠伸 はくしよ風の科ではないかいな

人に意見

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 人に意見 本調子 人に意見をしたわしが今では我身がはづかしい 思案の外とはこのことか

ぴんとすねては

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より ぴんとすねては 本調子 ぴんとすねては又わらひ顔苦労させたり泣か せたり色の世の中苦の世界

ひとり寝の

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より ひとり寝の 本調子 ひとり寝のさびしさに行燈引よせのむ煙草枕に あてし文のはしかへすがへすも深ざけと浮気ごゞろの 出ぬやうと書いたる文ハよその花それにまよふたが ばからしい(長き夜同調)

廣い世界に只一人

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 廣い世界に只一人 本調子 廣い世界にたゞ一人こゝろ残りの只一人逢ハなきや さびしいたゞ一人浮世はいやぢやたゞひとり

人に拾はれ

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 人に拾はれ 本調子 人に拾はれもう百年目わたしやお前に惚れ申す いやならいやだと申すべく候どけうさだめて居や しやんせわたしもその気でゐるわいなお互ひにおさつし

人とちぎるなら

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 人とちぎるなら 三下り 人とちぎるなら薄く契りて末までとげよ紅葉 ばを見ようすきが散るかこきがまづちるもので候 さうぢやわいな

廣い世界

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 廣い世界 本調子 廣い世界をこゝろからせまう楽しむ仲でさへ 任せぬ首尾をとやかうと愚痴な台詞も恋の癖

四季 冬

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 四季 冬 二上り 冬の夜に逢へば嬉しき置炬燵たゆる間も なきさゝめ言今宵やらじと引きとめし雨も いつしか雪となり静に更けてゆくわいな

四季 秋

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 四季 秋 本調子 十六夜の月は待たねど君を待つ心も知らでと すねて見て優しい言葉にまた笑顔二人手と 手を丸窓にあければ差し入る月の影見あぐる 空に啼き渡る雁も仲よく女夫連

四季 夏

小唄江戸紫 中田治三郎(昭和23)より 四季 夏 三下り いつしかに二人の仲も深みどり願ひ叶ふて遠出まげ 結ふも嬉しき蚊屋の内マクラに通ふ浪の音磯松 風にさそはれて夢まどかなる夏の夜